城南ダイヤモンド工業株式会社は、2026年8月19日(水)、
芝浦機械製【すくい面および逃げ面加工用】ダイヤモンド研磨機を導入いたします。
ダイヤモンド工具の切れ味と寿命を決めるのは、
刃先を形づくる「すくい面」と「逃げ面」の仕上がりです。
この2面を専用機で磨き上げる体制を整えることで、
当社は更なる「ゼロ」への挑戦を進めてまいります。
「すくい面」「逃げ面」とは——ダイヤモンド工具の性能を決める2つの面
ダイヤモンドバイトの刃先は、
2つの面が交わる1本の稜線(切れ刃)としてできています。
- すくい面(rake face):切りくずが滑り抜けていく面。切削抵抗と切りくずの流れ方を左右します。
- 逃げ面(flank face):加工面と向き合う面。仕上げ面の粗さと工具の摩耗の進み方を左右します。
つまり、切れ刃の鋭さは「面の精度」の掛け算で決まります。
どちらか一方だけを磨いても、稜線はまっすぐにはなりません。
単結晶ダイヤモンドは方位によって硬さが変わる異方性を持つ、
地球上でもっとも硬い材料のひとつです。
この材料を狙った角度・狙った平面度で削り込むには、
専用の研磨機と、条件を安定させる環境が欠かせません。
私たちが挑む「ゼロ」とは
当社が掲げる「ゼロ」は、精神論ではありません。
お客様の加工現場で実際に問題になる、
4つの「あってはならないもの」を限りなくゼロに近づけるという意味です。
- 刃先の欠け(チッピング)ゼロ——ワークに転写されるキズをなくす
- 稜線のうねり・ダレゼロ——形状精度をそのまま金型へ写す
- 個体差ゼロ——2本目・3本目も同じ刃先で届ける
- 手戻りゼロ——再研磨しても初期性能に戻す
今回のダイヤモンド研磨機の導入は、
この4つを設備の力で底上げするための投資です。
ナノを狙うなら、まず「温度をそろえる」

写真右の装置に表示されているのは「23.0」——
研磨機に供給する水の温度です。
ナノメートルの世界では、
わずかな温度変化による部材の伸び縮み(熱変位)が、そのまま誤差になります。
金属は温めれば伸び、冷やせば縮む。
その「あたりまえ」が、狙う精度と同じ桁で効いてくるためです。
そのため当社では、研磨機本体だけでなく
- 恒温水循環装置による定盤・主軸まわりの温度安定
- 除湿エアドライヤによる清浄・乾燥エアの供給
- 防振架台とレベリングによる外乱振動の低減
までをひとつの加工システムとして整えています。
「良い機械を買う」ことではなく、
「同じ結果が何度も出る状態をつくる」ことが、超精密加工の本体です。
今回の導入で、お客様に提供できること
1. 刃先品質の安定(バラつきを抑える)
すくい面・逃げ面を専用機で加工することで、
本数をまたいでも同じ刃先形状を再現しやすくなります。
量産ラインでの工具交換時、加工条件の作り直しを最小限に抑えられます。
2. 再研磨(リシャープ)の品質向上
摩耗したダイヤモンド工具は、研ぎ直して使い続けられるのが大きな利点です。
2面を高精度に整え直すことで、
初期性能に近い状態への復帰と工具コストの低減を両立します。
3. 対応形状・対応スピードの拡大
社内で研磨工程を完結できる範囲が広がるため、
特殊形状のご相談や試作の短納期化にもお応えしやすくなります。
「来年、新たな加工機を導入予定」——お約束を、かたちに
2025年10月、当社は最新情報にて
「来年、新たな加工機を導入予定」とお伝えしました。
今回のダイヤモンド研磨機の導入は、そのお約束を実際のかたちにしたものです。
当社の工具が実際にどこまでの精度を出しているかは、
スマートフォンレンズ金型の加工事例でご覧いただけます。
先端R輪郭精度 P-V 33nm、加工面粗さ Sa 0.225nm——
原子サイズに迫る領域での実測値です。
新設備は、この水準を「特別な1本」から「あたりまえの1本」へ変えていくためのものです。
主な対応分野
- 光学:非球面レンズ金型、ミラー、回折光学素子
- 半導体・電子部品:ウェハ関連部材、微細形状加工
- 医療:カテーテル・内視鏡関連の精密部品
- 時計・宝飾:鏡面加工、装飾カット
- 自動車:センサ・光学部品まわりの精密部品
対応可能な材質・形状の詳細は事業内容、
これまでの取り組みは製品実績・導入事例をご覧ください。
よくあるご質問
Q. すくい面・逃げ面の研磨だけを依頼できますか?
A. 承ります。他社製ダイヤモンド工具の再研磨についても、
まずは現品の状態を拝見したうえでご相談させてください。
摩耗の程度によっては、新規製作をご提案する場合もございます。
Q. 何本から対応してもらえますか?
A. 1本からご相談いただけます。
研究開発・試作の単品から量産のリピートまで、一貫して対応しています。
Q. 図面がまだありません。相談だけでも可能ですか?
A. 可能です。「この材料を、この面粗さで削りたい」というご要望だけでも構いません。
ワーク材質・目標精度・加工機の情報をお知らせいただければ、
刃先形状からご提案いたします。
ご相談内容の整理には基本依頼書もご活用ください。
加工の「あと0.1μm」に、お困りではありませんか
面粗さが目標に届かない。工具寿命が読めない。
ロットごとに仕上がりが変わる——
その原因は、刃先のわずかな差にあるかもしれません。
1977年の創業以来、当社は単結晶ダイヤモンド工具ひとすじに歩んできました。
新たな研磨機とともに、更なる「ゼロ」への挑戦を続けてまいります。
試作1本のご相談から、量産のご検討まで。
どうぞお気軽にお問い合わせください。
製品の詳細はカタログからもご確認いただけます。

